イラストに立体感を出す場合に重要な影の色。肌や服など、それぞれ違うベースカラーから「どの影色に決めればいいんだろう?」と迷ったら、ブレンドモードの乗算レイヤーがおすすめです。
乗算レイヤーは、ベースカラーと同じ色で描画しても色浮きしない影色を表示してくれるという効果があります。
陰影の定義をそのまま突き詰めると難しくなってきますが、まずは簡単に考え、サクッと描画してみましょう。
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ベースカラーと同じ色で描画
乗算モードで影を付ける場合は、ベースカラーの上にレイヤーを追加⇒レイヤーのNの部分をタップして乗算に設定します。
同時に、レイヤーのオプションメニューで「マスクをクリップ」に設定しておくと、元画像からはみ出さずに塗れるので便利です。
ベースカラーと同じ色で描画する理由は、太陽光の色が無色と考えた場合、物体に当たる光も無色。
よって、物体にさえぎられてできる暗い部分の影(shadow)は、「ベースカラーより暗い色または濃い色になるだけ」なので乗算レイヤーの描画色は、ベースカラーと同じ色で良いと言う考えです。
乗算モードは、この暗い色や濃い色を計算して表示してくれるので、初心者は迷うことなく描画することができます。
また、光の強さは不透明度で調整できます。
※とりあえず、光の当たらない部分の陰(shade)の色も同じで考えています。
乗算レイヤーの描画色をオレンジ色に変更
次に、太陽光をオレンジ色にしてみると、夕陽に当たる影が表現できます。
他にも、下レイヤーを複数の色で描画しても乗算モードは、個々の色を計算して影色を表示してくれます。
乗算の計算式
乗算は、下レイヤーのベースカラーである「基本色」と上に追加したレイヤーの「合成色」を掛け合わせるモードなので、表示される「結果色」は、「基本色」より色が濃くなります。
乗算の計算式は以下の通りです。
結果色=(基本色×合成色)÷255
今回使用した色で計算してみると、「基本色はR=244、G=173、B=122」乗算レイヤーの影色(合成色)も「R=244、G=173、B=122」と同じなので、結果色は以下の通りになりました。
- Rは、(224×224)÷255=196.768627
- Gは、(173×173)÷255=117.368627
- Bは、(122×122)÷255=58.3686275
スポイトツールで取得してみると結果色は計算通りですね。
乗算しても変化しない色
乗算を使っても何も変化しない色があります。それは、RGB各色が最大値の「 255 」の色です。
「R=255、G=0、B=0」の赤色を掛け合わして割るとR=255と変化はありません。緑(G)と青(B)も同じです。また、白と黒も変化はしません。
つまり、ベースカラーが赤・緑・青のような原色に、乗算モードで同じ色で影を付けても変化はありません。
また、違う色を使ったところで乗算されないので、乗算モードを使う意味がないことが分かります。
同じ方法で、光が当たる明るい部分はブレンドモードのスクリーンを使うと便利です。